名誉記者団

2021.12.31

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[茨城=登久美子(日本)]
[写真=Coupang Play]


ある日、突然自分が殺人事件容疑者になってしまう。殺人を立証する直接証拠がないにもかかわらず、警察や検察は自分が無実であることを誰も信じてくれない。こんな絶望的な状況の中、皆さんならどうするでしょうか。

2021年11月27日(土)より韓国では動画配信サービス・クーパンプレイにて、日本ではアマゾン・プライム・ビデオにて配信が開始されたドラマ『ある日~真実のベール』。日本でも有名な人気実力派俳優キム・スヒョンとチャ・スンウォンのダブル主演ということで注目度もかなり高く、SNS上でも配信を心待ちにする人で溢れていました。筆者も楽しみにしていた一人です。

配信は全部で8話。密度の濃い短めの構成に「もっと観たい!」という切実な口コミが多かったです。また、感情表現が豊かなキム・スヒョンの演技の評価が高く、もらい泣きをする人も多かったとか。韓国国内でももちろん評判が高く、配信元のクーパンプレイではこの『ある日~真実のベール』がスタートしてから新規加入者が普段の250%も増加したそうです。ドラマに対する評価の高さ、また豪華俳優陣の人気の高さがわかります。

ここでストーリーをご紹介します。平凡な大学生のキム・ヒョンスは、ある日、偶然ホン・グクファという女性と出会います。彼女と話しているうちに、ミステリアスな雰囲気に飲まれて二人は一夜を共にすることに。ところが、目が覚めたヒョンスが発見したのは惨殺されたグクファの遺体。殺人事件の容疑者として留置場に入れられてしまったヒョンスは、圧倒的に不利な状況の中、無罪立証のための戦いを始める、というストーリーです。

ストーリーに既視感を覚えた方もいるかもしれません。実は、『ある日~真実のベール』は英BBCが2008年に放映した『クリミナル・ジャスティス』のリメイク。リメイクするに当たってもちろんイギリスと韓国では司法制度が全く同じではないので、韓国の司法制度に合わせたストーリー展開にし、また原作よりも登場人物の感情描写をより緻密にしたそうです。


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また主要キャストはどの俳優も豪華メンバー。事件に巻き込まれる平凡な大学生キム・ヒョンスはキム・スヒョン。そしてそのキム・ヒョンスを弁護する三流弁護士シン・ジュンハン扮するチャ・スンウォン。キム・スヒョンは前作『サイコだけど大丈夫』でコ・ムニョンの”安全ピン”になりましたが、今回はこのシン・ジュンハン弁護士がキム・スヒョンの”安全ピン”になります。また留置場でキム・ヒョンスと出会うパク・ドゥシク扮するヤン・ギョンウォン、そして拘置所のボス的存在ト・ジテ扮するキム・ソンギュ、事件を担当する女性検事アン・テヒ扮するキム・シンロク、とストーリーを彩る俳優陣は韓国ドラマをよく観る方なら知っている顔ばかりです。

ドラマを通して筆者が最も良かったと思ったのは、登場人物の台詞が最小限であること。ヒョンスの心情の変化や決意、色々と思い出すシーンでも、その心の内を説明する台詞は殆どありません。台詞が少ないことで役者の表情の細部がよく見えるようになり、いつもよりも登場人物に共感できました。

また、第5話にシン・ジュンハンが国民参与裁判制度を利用しようとキム・ヒョンスに持ちかけるシーンが出てきます。国民参与裁判制度は日本で言う裁判員制度で、2008年1月にスタートした制度です(なお、日本の裁判員制度はその翌年2009年5月にスタートしています)。弁護側が国民参与裁判制度を利用しようとした背景には、不利な状況では国民参与裁判制度によって判決をひっくり返せる可能性が少しでも高くなることが示唆されています。

誰かの思惑によって到着地を間違えてしまった場合、それが幸運にも結果オーライなら良いのですが、殆どの場合は困惑し、動揺してしまいます。ある日突然巻き込まれてしまった事件。今回のヒョンスのような場合は諦めずに到着地を修正できるのか、自分のこととして考えると背筋が寒くなります。

*この記事は、日本のコリアネット名誉記者団が書きました。彼らは、韓国に対して愛情を持って世界の人々に韓国の情報を発信しています。

eykim86@korea.kr